銀河

今日は新銀河帝国歴何年?

このページでは西暦2801年を宇宙暦1年としています。

です。

数年前ですが、とある役者やってる知人が舞台の銀河英雄伝説に出演した縁で田中芳樹先生に飲ませてもらったそうで、羨ましすぎるので今日は銀英伝の話題にしようと思います。

銀河英雄伝説について語ろう

この作品はベストセラーかつ超ロングセラーのため、詳細を解説するWebサイトは無数にあるので、自分の視点でこの作品を振り返ってみようと思います。
銀河英雄伝説 (全10巻)Kindle版

この作品の初出は徳間書店から1982年 – 1989年まで刊行された田中芳樹先生の代表作で、図らずも僕が読み始めたのは僕がリアル中二病の時分になります。(人生が狂ったぜ)

民主共和主義は専制君主主義に勝る。例え最悪の状態の民主主義であっても勝る

この作品は大きく見れば一貫して民主共和制vs専制君主制のイデオロギーの戦いです。
終盤のナレーションですが、
「民主共和制の軍人は専制君主に屈する膝を持たない」
という言葉がよく表していると思います。
ストーリー上の勝利者は帝国側ですが、田中先生が民主共和制をどう捉えているか良く伝わってきます。

三国鼎立している世界

物語中盤まで、対立する陣営同士は三国鼎立した状態で争っています。
またそれぞれの国は、公用語にしている言語から以下のように分けられます。(自治領であるフェザーン以外)
魏=銀河帝国(専制君主制)=帝政ドイツ
呉=フェザーン(帝国自治領)=田中先生のイメージする80年代の日本?
蜀=宇宙惑星同盟(民主共和制)=アメリカ合衆国

巨大な軍人将棋の世界

基本的に銀英伝の世界は巨大な軍人将棋のように両陣営の陣地が対面し、それぞれを2本の突入口(フェザーン回廊とイゼルローン回廊)から攻防を繰り広げます。
銀河帝国側総司令部は惑星オーディン、宇宙惑星同盟側総司令部は惑星ハイネセンと呼ばれます。
突入口の一つであるフェザーン回廊は物語中盤までフェザーンが押さえているので、序盤はイゼルローン回廊に建設された軍事要塞の攻防により物語が進みます。
軍人将棋のように総司令部は占拠された時点でストーリー的にも実質上の意味消失しています。

軍事史を履修しているのが主要人物のみ?

作中には古代~中世で主にアジアで運用された戦術が頻繁に登場しますが、やられ役の提督は基本(多分に大げさに)驚嘆するので、
士官学校を出ているわりには宇宙暦以前の軍事史を勉強していない疑いが強いです。
そのため、主要キャラクターは専門に勉強した者なら普通に知っている知識を引っ提げて異世界転生しているかのような状態で無双します。

三国志に相当する登場人物

銀河帝国(新銀河帝国)

徳間書店受付に飾ってあったラインハルト像

曹操(孟徳)=ラインハルト・フォン・ローエングラム
曹操を金髪の美青年にして一代で覇業完遂させて好色成分を抜いたハイパーチートがラインハルト。
美人の姉を皇帝の後宮に納められた腹いせに、宇宙統一を目指します。
人材登用を趣味とするのも曹操と同じですが、20歳前後の青年が年長の提督を人材コレクションするのは天才の一言では片付かない気がします。

司馬懿(仲達)=オスカー・フォン・ロイエンタール

ロイエンタールは能力的には司馬懿。自分が反乱を起こしているところは魏諷。
もしもロイエンタールに遺伝上の孫(親友の養子となった息子の子が)できたとして、それが男の子で祖父の性質とラインハルトの遺訓を知って反乱を起こしたら、司馬炎よろしく祖父の主君同様にならい歴史を繰り返させるかも知れない、と考えると面白いですね。

夏侯淵(妙才)=ヴォルフガング・ミッターマイヤー

夏侯惇・夏侯淵にあたるのはキルヒアイスかとも考えたのですが、キルヒアイスはあんなイケイケではないので難しいですね。
帝国軍の双璧に当たるのは魏の双璧と思いますが、ロイエンタールは司馬懿に当ててしまったので、
機動速度に重きを置いているところから夏侯淵をミッターマイヤーにしてみました。
田中芳樹先生の中では曹操の「用兵の速度が速い」という部分を取り出したのがミッターマイヤーではないかと思うのですが、曹操の速度の顕現が夏侯淵としてみました。異論は認めます。

宇宙惑星同盟

諸葛亮(孔明)=ヤン・ウェンリー

「魔術師」「奇術師」「奇跡の」ヤン。
ヤンが中国系であるところもそのまま。作中では銀河系宇宙最強の戦術能力を誇ります。
首から上は全ての能力が高いが戦略に傾く諸葛亮に対し、あえてシビリアンコントロールに自ら拘泥した諸葛亮がヤン・ウェンリーと言えるかと思います。
しかし諸葛亮は劉備を得られましたが、ヤンは死ぬ時まで忠誠の対象を得られず、図らずも死後に「死せるヤン・ウェンリー」という民主共和制の象徴を次世代に残します。暗殺によって死んだ時には敵から「ヤン・ウェンリーの罠」を疑われるなども共通点が多いですね。
個人的には道原かつみ版のヤン・ウェンリーがビジュアル的に好きです。

黄月英=フレデリカ・グリーンヒル・ヤン=橋本環奈

ヤンの嫁なので孔明の嫁に当てただけですが、共に英才を讃えられる才女同士。
博識なのが黄月英。記憶力に優れるのがフレデリカ。似てますね。
あるいは明確に「美人」と書かれているのがフレデリカ。「器量は良くはない」と書かれているのが黄月英(新解釈三国志では橋本環奈でしたが)

姜維(伯約)=ユリアン・ミンツ

姜維を孔明の後継者と呼んでいいのかは難しい問題ですが、「孔明の遺志」に生涯を捧げた姜維に対し、「ヤン・ウェンリー語録という聖典」を抱えたユリアン。頭脳以外はデクノボウである師父と違って文武両道の才人ですが「師父には及ばない」という世間の評価も共通。
三国志で劉禅が一時期暗君とされた原因の一つである総降伏を行ったのが、銀英伝ではヨブ・トリューニヒトなので、時系列はずれていますがしっくり来ます。劉禅をトリューニヒトと一緒にされては趙雲が浮かばれませんが・・・。
姜維は劉禅の総降伏により戦闘停止されますが、ユリアンはヨブ・トリューニヒトの総降伏による自由惑星同盟の戦闘停止と、後にエル・ファシル政府の解散を経ます。蜀再興のための戦争が死ぬまでやめられなかった姜維と違い、ユリアンは最後にささやかながら自治領を得るのが違いと言えます。

ゴールデンバウム王朝銀河帝国

霊帝=フリードリヒ4世

帝国の最後から2番目の皇帝。
共に政治的な知見は不明ながら実績は特に無く、一般的には凡庸以下の君主と評価される。実際のところ、帝国崩壊の原因を作ってしまうのは彼ら。

黄巾の乱を防げず平定の主導もできずに群雄の台頭を呼んだ霊帝に対し、フリードリヒ4世の方は美少女を見つけたから寵姫に迎えたという極個人的な事柄なのが違い。

献帝=エルウィン・ヨーゼフ2世

前帝国の最期の皇帝。共に他人の意思で少年皇帝となる。
誘拐された後に、最後は異郷で行方不明になったエルウィン・ヨーゼフに比べれば、董卓に擁立されて曹丕に禅譲した献帝は多少幸福と言えるかも知れない。

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