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中国向けアプリを開発しよう

最近、需要の増大からか中国向けアプリを開発する案件が増えました。
中国向けとはいえiOSはObjective-CやSwift、AndroidならJavaというのは変わりませんので、開発においての問題は翻訳と文字コードくらいなものなのですが、なんと中国にはGoogle先生がいないので、細かいルールがかなり変わります。

中国向けアプリとは

まず中国のストアに出ているアプリを見てみましょう。
iOSであれば、AppleIDの設定で「国または地域名」を変更する事で、中国のストアを見れます。
内容が中国向けアプリでも、日本ストアにも掲載すれば日本でも見る事ができます。
ただし中国でメジャーな決済方法には中国の携帯番号が必要で、日本人が中国アプリで決済するのは結構難しいです。

他国のAppStoreを見る

中国でのスマホOSのシェアは?

日本だとみんなiPhoneを使っていますが、海外ではAndroidの方が多い、というのは有名な話かと思います。
実際、iOS/Androidで見るとAndroid 83.1% / iOS 16.9%で確かにAndroidの方が多いのですが、ここにGoogle先生がいないという問題が出てきます。ここは後述。

まずはSNS内アプリを検討

中国はSNS大国です。新規でアプリを作るにしても、SNS事情を把握する必要があります。

中国SNSシェア率(ITmediaマーケティングより引用)

日本だとLINEやFacebookが生活インフラとなりましたが、中国ではSNSといえばWeChat、微博がTOPにおり、少し違う位置にいるのがRED、TikTokになります。ショッピングサイトもメッセンジャーのついた強いサービスがありますが、今日のお話とずれるので省略します。
中国の人は、WeChatや微博の中でほとんどの消費活動を完結する人すらいます。WeChatは12億人を擁する巨大なプラットフォームなので、WeChat内のアプリというのが成立するためです。
これをミニプログラムと呼び、開発元であるTencentへの申請でアプリを公開しますが、当然Tencentの規制を受ける事になります。
中国展開を考える企業はWeChat、微博のアカウント運用を余儀なくされるので、新規のアプリでなくミニプログラムという選択肢も出てきます。
しかしTencentのルール変更でデジタル商品を売れないようになったので、自前のアプリという選択肢も依然としてあります。

オリジナルアプリを中国で公開したい

中国でアプリ運用して収益を得たい場合、業種によって中国の法人でライセンスを取得する必要があります。
また中国は中国サイバーセキュリティ法という法律があるので、日本から中国のストアへ公開する事も、APIを管理するのも難しいでしょう。

公開審査が日本と違う

日本やアメリカでアプリを公開するには開発してApple、Googleへ申請するだけですが、なんと中国にはGoogleがいません。各社で独自のAndroidを展開しているため、各社へ別々に審査に出す必要があります。
また、Androidだと中国でアプリを公開するには国家版権局の承認がいりますが、この審査作業が60日もかかるようです。※短縮で依頼する事もできます。
承認されたアプリは主要なメーカー应用宝、Huawei. 、Xiaomi.、OPPOなどのAndroidストアへ公開する申請するとして、これも1~2週間かかります。

カテゴリにより様々な登録、許可証が必要

どこの国でもそうですが、エンターテイメントやECなど、iOSアプリにはカテゴリを設定します。
その際、中国ではエンターテイメントカテゴリで公開するには「互联网出版许可证(インターネット出版ライセンス)」または「网络文化经营许可证(インターネット文化事業許可)」が必要となり、日本の企業がこれを取得するのは大変なので、基本的にはライセンスを持っている中国企業を通して展開する事になるかと思います。

ICP登録

中国の工業情報化部という期間が定めるポリシーにより、中国を拠点とするすべてのWebサイトは、「ICP 許可証」という許可証を取得する必要があります。
これは管理人や内容を届けるもので、もし許可証を取得しない場合、猶予期間が過ぎるとブロックなどのペナルティを受けます。ICP 許可証は各ドメイン毎に必要となり、これは年度更新が必要です。
この際、本来は中国でインターネットビジネスを始めるには商用ICPライセンスが必要なのですが、中国外の企業は取得がほぼできないため、中国国内の企業が前面に立たないとインターネットビジネスを手掛けることができません。

何を売るか

中国で売るものには、ものによっては規制がかかります。
例えば他国のニュースにあたるものは売れません。
またライブ配信によって他国から配信するライブイベントを売る事も難しいです。(内容によってはできなくはないです)
また他国のモバイルゲームなどにも厳しいです。
画像などを売る場合はオンライン出版にあたる場合があり、これもライセンスが必要になります。

国家新闻出版署规章

によると、オンライン出版には中国外の企業が取り組むのは難しく、中国企業と提携して取り組む必要があります。

いくらで売るか

中国で収益を上げた場合、現地の法人の税金もかかりますが物品には関税がかかり、得た収益を日本に送金するにも税金がかかります。売りたい金額にそれらを乗せて値付けする必要があります。
しかし高すぎると日本人に渡りをつけて送ってもらった方が安く済むようになるため、日本での売価にどれくらい乗せるかはセンスの要するところです。

告知について

中国にはGoogle先生がいません。
日本だとアプリの告知はSNSにストアURLを記載する事も多いですが、中国だとメーカー各社にストアがあるため、ストアURLを貼ると煩雑になってしまいます。
そこで、日本でいう「○○で検索してダウンロード!」というような検索キーワードを告知する事になります。
例えばApp Store、Xiaomi、Baiduの3ストアで配信しているなら、
「可前往应用宝/小米/百度市场中搜索“○○”进行下载!」
というような文言を微博などで告知する方法になります。

とはいえ中国は14億人

ここまでご紹介したように、中国は日本と比べ規制が厳しいですが、現在では世界2位の経済大国ですし、やはり人口の多さと経済の巨大さにより今後も中国向けアプリの需要は続くものと思われます。
純開発エンジニアとしてはやる事は同じですが、思ったより時間がかかる、日本への送金までにお金がかかる事を意識するのがよろしいでしょう。

梅木千世でした。

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