徐々に下火になって来ましたが、いわいるライブ配信アプリの課金施策として、テレビ・ラジオ・OOHのモデル権を争奪するイベントは収入源の一つになっています。
最近も渋谷を歩けば、ライブ配信アプリの看板広告にライバーが掲載されているのを見かける事があると思います。
テレビ、ラジオ、雑誌広告、OOH*など大抵の広告メディアは景品になっていますが、とりあえず前職の慣習でこれらを「看板イベント」と呼びます。(看板でない場合も)
*OOH
Out Of Homeの略。中吊り広告や駅構内広告などの交通広告、各種看板屋大型ビジョンなどの屋外広告、チラシなど、家庭以外の場所で展開するメディアの総称。アウトオブホーム・メディアとも。
看板イベントの広告効果
結論から述べると、広告効果は無いと思っています。
以前は看板掲出時にはリスティングのCPIがやや下がるなどあったのですが、世の中が見慣れるにつれて下がったかと思います。ライバー本人から見ても特にフォロワーが増えるとかの効果はあまり無いようです。
なので課金イベントの場合はほぼ広告効果は考えずただの景品として考えて良いかと思います。
このあたりうまく考えれば広告効果に繋げていられる人もいるのだとは思いますが、課金イベント単体で収支を締める場合は掲出以上の事をすると課金高を超えてしまうので、なかなか難しいところです。
手順は広告出稿に近い
課金イベントは景品ですが、形式は広告なので広告業界の慣習に従う必要があります。
僕の前々職が広告代理店なので、ライブ配信アプリに活かせるポイントはここだと思います。
まずは広告枠を取る
広告枠を取る場合は取る枠と掲出期間を決めて、代理店や媒体主に押さえてもらいます。
1.掲出期間
いつまで掲出するものなのかを代理店に伝えます。例えば2W、4W。長ければ年契の場合もあります。長い場合は入れ換え頻度を想定しておきます。
2.枠
要望に従って代理店や媒体主が提案してくれますので、目的に沿って選びます。
・雑誌の場合 誌名、版面A4,AB版など 発行部数、表2,表4、1C、4Cなど確認します。
・テレビの場合 普通はクールならコの字、逆Lなどの買い方を決めるのですが、課金イベントではほぼスポットになるでしょう。
・OOHの場合 看板なら寸法、デジタルサイネージなら画角や解像度を確認して枠を決めます。
その他
雑誌の場合は、急に枠が空いたり誰かが原稿落とした場合に安くなる場合がありますが、入校日まで短い事がほとんどです。
また、投げ込み(入稿しておいて枠が空いた時に掲載してもらう約束)で安くなる場合も多いです。
新聞の場合は何の面で何段使うかで値段が変わりますが、記事が何になるかコントロールできないので、暗いニュースにあたる可能性もあります。
デジタルサイネージは枠の他に、放映頻度(1時間の間に何回放映されるか)と尺でも値段が変わります。
尺は基本的に15秒or30秒です。
静止画の場合はサイズと仕様(ポスター、電飾など)で後の工程が変わります。
電車内広告はドア横、棚上などの種類がありますが、棚上がデジタルサイネージになったり過渡期にあるようです。
課金イベントを設定する
ライバーを撮影に呼ぶ場合は、最初に撮影場所まで決め、イベントページに「○○日~○○日までに✕✕の場所で撮影可能なかた」で指定する必要があります。予備入賞についても決めます※後述
入賞者連絡
ライブ配信の入賞者は、自分が意図せず入賞してしまった場合があるので、必ずしも撮影に来ません。そこで補欠になる人にも連絡しておく必要があります。
撮影する
撮影まわりは撮影スタッフに頼みますが、スタジオの用意が要りますので同席するのが望ましいかなと思います。
クリエイティブを作る
撮影、動画(静止画)のクリエイティブを制作します。僕は多少動画編集もできますが、自前で作れない場合は外注します。ここは代理店に頼んでも手配してくれますが、身内に頼む方が安くはなりますよね。
ここでテレビやラジオCMとして作る場合、二次利用については最初に確認しないと勝手にPCPに使ったりはできません。
クリエイティブの本人確認・色校正
出演者全員のOKをもらう必要があります。
印刷物の場合は色校正もします(色校正無しだと少し安い事があります)
掲載可否(テレビの場合は考査)に出す
このあたりまでには本人確認と平行して掲載可否や考査に出します。テレビCMであれば局担に聞けばよいです。
考査は完成品である必要は無いので、コンテ作成あたりで考査に出してる事もあるのではと思います。
可否に落ちる理由としては、肌色面積で落とされる場合や、交通系だと人を止めるものは嫌がられがちです。
制作・取り付け(看板の場合)
動画なら納品するだけですが、静止画の場合は制作作業があります。
ポスターなら印刷、
OOHなら圧着などの制作作業が要ります。取り付けも人の作業なので、取り付けを依頼します。
掲出の確認
ちゃんと掲出したか確認します。遠隔地の場合は、代理店が写真とか撮って送ってくれます。たまにデータが間違えて掲出される場合があるので確認は必要です。
継続の判断
枠の期間が終わった後、枠を継続するか代理店に聞かれるので確認します。
よい枠だったら継続して入れ替えを行いますが、入れ替えにもお金がかかる場合もあります。(デジタルだとあまり無いですが)
以上、ライブ配信アプリの看板掲出でした。
最近は縁がないですが、いずれ機会があればまたやりたいと思っています。
梅木千世でした。