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アフォーダンスについて考えよう

今日のテーマはアフォーダンスです。
アフォーダンスとはアメリカの心理学者でジェームス・ギブソンが1950年代に唱えた概念で、「与える、提供する」という意味の英単語「afford」から作った造語です。
意味合いは「物(環境)が人(動物)に与える行為の可能性」というようなものです。
例えば、疲れた時に座りやすそうな倒木に座るのは、倒木が人間にaffordする可能性、アフォーダンスとなるかと思います。

で、このアフォーダンスの概念はデザインに使われるようになりました。
例えば、手の届く高さに丸いでっぱりがあると、人は説明されなくても「これは押すものだ」と知覚します。
引き出しに取っ手がついていると「これは引っ張り出すものだ」と知覚します。
前者にはボタンだから押すというアフォーダンス、後者には引っ張るというアフォーダンスがあると考えます。

ここから始まって、インターフェイスデザインではアフォーダンスをユーザーに伝え、説明する事なくその物の利用法を伝える事を指してアフォーダンスと呼んだりもします。
アフォーダンスとは自然に存在する形状や性質が、人間あるいは動物に「◯◯したくなる」という感情を与える事ですが、UIで言うアフォーダンスとは「説明しなくてもこういう操作をするとこうなるというメッセージを形状に与える事」というような意味になるかと思います。

Apple製品の多くが説明書を同梱しないように、優れたUIとは説明をしなくてもユーザーに操作法がわかる形状をしているべきで
例えば、丸い図形にドロップシャドウやグラデーションを入れると「ここは押すものじゃないか?」というメッセージを与えます。
これに虫眼鏡アイコンがついていると「これを押すと検索機能が起動する」とユーザーに伝える事ができます。
本来アフォーダンスとは自然に存在する可能性であり、働きかけるというような事ではないのですが、UIという考え方からすると先行者がイメージ付けたデファクトスタンダードや、後天的に習慣づいたものをユーザーにアピールしていく事になります。
結果として、先行して世に出ている形状や使用感を踏襲する事もアフォーダンスに結びつく事になります。
独創的すぎる操作法はユーザーを混乱させるだけなので、「見たことも無い操作」というのは斬新ではありますが、ユーザビリティの面では避けるべきという場合もありますよね。

梅木千世でした。

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